「百種の変わり湯(薬湯)」を展開することで有名な墨田区・薬師湯。でもそれはウソ。百種どころじゃない。数百種あると思うほどのバリエーションで老若男女を楽しませてくれる。また「変わり湯」だけではなく、2025年4月には「ギリシャ風銭湯」としてリニューアル! 明るく優しいファミリーが営むエンタメ銭湯。さぁ、どっぷりつかろうか。

 

ギリシャの風吹くリニューアル!


女湯の浴槽前には田中みずき絵師が描く「サントリーニ島」のペンキ絵が広がる。ペンキ絵の題材は富士山が多い中、海外の景色は大変希少だ

2025年4月。リニューアルでさらなる進化を遂げた薬師湯。「ギリシャ」をコンセプトに、フロントから浴室まで装いを一新した。企画は3代目店主・長沼秀三さん(愛称:シューゾーさん)。常連であるデザイナーYOUSAYさんも携わった。リニューアルの象徴は浴室の壁面。ペンキ絵師・田中みずきさんによる作品で、ギリシャのミコノス島(男湯)・サントリーニ島(女湯)が美しく描かれている。

実は以前も壁面にギリシャの景色があしらわれていた。大女将が「いつか旅行で行ってみたい」とオーダーしたタイルの図柄だ。それを受けシューゾーさんは「ギリシャの湯」なる変わり湯も開催し、名物湯の1つとなった。そして今、ギリシャは薬師湯のキーワードに。大女将、常連さん、そして皆に広がる憧れの情景だ。


男湯のペンキ絵はミコノス島が描かれている

ギリシャの情景は、浴室の窓の上部にも広がる。迫力あるステンドグラスに見えるが、実はシート装飾。先述の常連YOUSAYさんによる作品だ。


浴室窓のステンドグラス風装飾。日中は日の光を受けて明るく、夜は漆黒に際立って見える

 

では順を追って薬師湯を堪能しよう。

まず浴室。変わり湯がたたえられた主浴槽。熱い湯にじわりと身を委ねれば、ふわっと香る入浴剤。ギリシャの景色に囲まれ、ワクワクしてくる。さらに壁にはところ狭しと貼られたポスター。浴室限定の連載漫画はメソポタミア文明先生による「銭湯戦士 セイント☆セントー(薬師湯の姉妹店である萩の湯・白水湯・東上野 寿湯の計4店で展開)」。YOUSAYさんによる連載エッセイ「千夜十夜着想記」。他にも近所の飲食店、オリジナルグッズの紹介など、眺めているだけであっという間に時間が経つ。ギリシャに行けなくてもいい、薬師湯の眺めが最高だもの……なんて。

リニューアルはデザインだけではない。新しいストーブを迎えたサウナは、少し湿度もあるせいか無理なくスルスルと汗がかける。脱衣場には「整いスペース(サウナの休憩スペース)」もできた。サウナマニアから初心者まで大満足のバージョンアップだ。


サウナは男湯14名・女湯6名まで入室可能。男湯はオートロウリュウ付き


脱衣場も爽やかなブルーが広がり、整いスペースも完備

浴室の奥には、銭湯としては珍しい「こども風呂」がある。浅い浴槽にぬるめの湯が張られ、おもちゃが並ぶ。「ウチは親子で来てくれる人も多いので」とシューゾーさん。閉店間際のお子さま不在時には、私も幼子の気分でつかる。


こども風呂にはおもちゃもある

〆はリニューアル前から筆者がお気に入りの空間、水風呂。奥に長く広がる浴槽には、天井近くの吐水口から流れる打たせ滝が据えられ、なんとも神秘的。RPGゲームにおける神殿のような趣さえ感じられる。冷え冷えの水につかりながら、スイスイと壁際に進む。ひゃあ。打たせ滝のしぶきを浴びながら体を冷やす。にぎやかな主浴槽エリアからは見えないスペースなので没入感あるクールダウンができる。日常のモヤモヤが水流に乗って流されていく……。深い吐息をついた。


浴室奥にひっそり存在する水風呂スペース


タイルも新調し、より神秘的な印象!?

後編では、あの伝説の『大学芋風呂』の舞台裏に迫ります!

(写真・文:銭湯OLやすこ/奥野靖子


【DATA】
薬師湯(墨田区|とうきょうスカイツリー駅)
●住所:東京都墨田区向島3-46-10(銭湯マップはこちら
●TEL:03-3622-1545
●営業時間:15時30分~26時
●定休日:水曜(祝日の場合は要ホームページ確認)
●交通:東武伊勢崎線「とうきょうスカイツリー」駅下車、徒歩1分
●ホームページ:http://yakushiyu.com/
●X(旧Twitter):@yakushiyu1010