都営三田線板橋本町駅から徒歩約10分。住宅地に寄り添うようにして建つ愛染湯(あいぜんゆ)。まず外観で目をひくのがシャッターとその横の掲示板のイラスト。銭湯絵師の田中みずきさんによる大きな絵には、天女の羽衣をまとったゆっポくんと富士山が鮮やかに描かれています。なぜ天女の羽衣なのかについてはのちほど。

シャッターに描かれたゆっポくん

ゆっポくんは入り口脇の掲示板にも

2019年3月8日にリニューアルオープンしたとあって、玄関に足を踏み入れた瞬間、その清潔感と真新しさが目をひきます。店内に入ってすぐ左手の券売機には入浴チケットはもちろん、ドリンクやお菓子などのチケットも並び、店内で必要なものはすべてこの券売機で購入可能です。

真新しく清潔感のあるロビー

入浴券を購入してフロントに渡す方式

脱衣場に入っても、リニューアルして間もない綺麗さをロッカーや壁紙などから感じることができます。脱衣場は男女共にかなり広めとなっているので、着替えの際に隣の人との距離が気になる方も安心して利用できます。

天井が高く広々とした脱衣場

広いので隣の人との距離もとりやすい

浴室に入ると最初に目に飛び込んでくるのは、なんといっても正面に広がる壁画。天女たちが優雅に描かれたモザイクタイル絵はリニューアル前からあるもので、昭和20年代から続く愛染湯の歴史を物語るとても重要なモチーフです。「散華」と題されたこのモザイク絵は、竹内栖鳳(せいほう)の天女舞楽図を元に制作されたもので、以前テレビでも取り上げられたほどの美しさ。この壁画を浴室のいたるところから眺めることができるのが愛染湯の大きな魅力です。

 

改装に伴い刷新されたカラン周りは、黒を基調としたシックな仕上がりで、バリアフリーに配慮された手すりも備え付けられています。シャンプー・ボディーソープは自由に使用できるのも嬉しいポイントで、近隣のみならず、近くをたまたま通りがかった方でも気軽に立ち寄ることができます。

浴室を彩るのは天女のモザイクタイル絵

左奥の屋根がある一角に露天風呂がある

浴槽も広く、バイブラや電気風呂、あつ湯と種類も多く、銭湯だからこそ味わえる温浴の醍醐味をたっぷりと堪能できるラインナップです。さらに嬉しいのは露天風呂! 男女ともに外気が感じられる空間に湯船が設置され、季節感を肌で味わいながらお湯を楽しむことができます。
しかも、土曜日にはアヒル風呂、日曜日には変わり風呂と、週末ならではのイベントも用意されています。取材に訪れた際はライム湯が終わり、すだち湯の準備中でした。またアヒル風呂も6年近く続けており、家族連れのお子さんのみならず、大人も童心に帰ったかのように遊んでいて、とても好評だとか。

外気が心地よい露天風呂。いすで一休みできる

大人にも好評のアヒル風呂は土曜日に実施

男性のみですがサウナも設置されており、サウナ室内は2段の構造で、合計で4〜5名は入れそうなスペースです。ガスストーブは熱量も十分で、たっぷりと汗をかきたい方にも楽しんでいただけそう。サウナ後の水風呂も銭湯としては深めです。さらに露天スペースにはいす2脚とベンチがあるため、外気浴をしっかりと楽しむことができ、サウナ好きにもおすすめです。

4~5人は入れるサウナ

3代目の銭元由一さんにお話をうかがったところ、住宅地にあるため、客層の多くは近隣にお住まいの方々。年配の方も多いため、暗くなってから帰宅するのが不安という声に配慮し、昨年のリニューアルに合わせて朝11時の開店にしたそうです。以来、朝から年配のお客様が訪れるようになっているとのこと。
またリニューアルに伴い、これまで足が遠のいていた近隣の方々も再び訪れてくれるようになり、そればかりか板橋区外からも足を運んでくれるお客様が増えたとも。さらに昨今のサウナブームも重なってか、リニューアル後はサウナの利用者数も目に見えて増えたそうで、いろいろな面でリニューアルの効果に手応えを感じているとのことでした。

この記事を読んで興味が湧いた方は、ぜひとも足を運んでみてください!
(写真・文:銭湯ライター:中山英樹


【DATA】
愛染湯(板橋区|板橋本町駅)
●銭湯お遍路番号:板橋 16番
●住所:板橋区大和町46-7
●TEL:03-3962-4576
●営業時間:11時~22時50分(最終閉店23時)、日曜は8時より営業
●定休日:不定休
●交通:都営三田線「板橋本町」駅下車、徒歩10分
●ホームページ:http://1010itabashi.or.jp/detail/187/
●Twitter:@aizenyu
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