デジタル時代を生きる私たちの目は、かつてないほどの負担にさらされています。仕事ではPC、休憩中はスマホ、夜はタブレットで動画視聴などを朝から夜まで画面を見続けている人も少なくありません。

厚生労働省の少し古いデータではありますが、パソコン作業による身体的疲労や症状を感じている労働者の割合は7割近くにのぼり、そのうち「目の疲れ・痛み」を訴える人は9割に達しているという調査がありました。注目すべきは、この調査が行われた2008年はiPhoneが日本で発売された年であり、まだスマートフォンが普及していなかった時代だということ。現在は通勤中も、休憩時間も、寝る前も――一日中画面を見続ける生活が当たり前になっており、当時とは比較にならないほど目への負担は増大しているはずです。

こうした生活のなかで起こるのが「眼精疲労」です。眼精疲労とは、単なる一時的な疲れ目とは異なり、休息をとっても回復せず、目の症状に加えて肩こり、首こり、頭痛、吐き気、無気力といった全身症状が繰り返し現れる状態を指します。なぜ目の疲れが、全身の不調につながるのでしょうか。

 

眼精疲労は「脳の疲労」でもある

実は目の疲れは、脳の疲れと直結しています。視覚情報の処理には脳の広範な領域が使われており、長時間のデジタル機器使用は、目の筋肉だけでなく、視覚情報を処理する後頭葉や、ピント調節に関わる自律神経系にも継続的な負担をかけます。

その結果、脳は常に”警戒モード”となり、交感神経が優位な状態が続きます。その結果「寝ても疲れが取れない」「体が重い」「集中できない」など全身の不調につながります。

目と脳はこれほど密接につながっているからこそ、目を休めることが脳を休めることに直結します。眼精疲労のケアは、実は全身の疲労回復の入り口なのです。

 

もっとも手軽な回復法

眼精疲労のケアとして、最も簡単で効果的なのがホットアイマスクです。
温めることで、
●光を遮断し、視覚刺激を減らす
●目元を温めて血流を促進する
●涙の蒸発を防ぐマイボーム腺の働きを助ける
●筋肉の緊張をゆるめる
●リラックスを促し、睡眠の質向上にもつながる
といった作用が期待され、ドライアイや目の奥の重だるさの軽減が期待できます。

ゆっポくんチャンネルの動画内で銭湯大使もすでに実践!!

 

「自宅」より「銭湯」がアイケアに最適な4つの理由

「ホットアイマスクなら自宅でもできる」と思うかもしれません。しかし、銭湯という環境と組み合わせることで、目の回復効果はさらに高まります。

広い浴槽で手足を伸ばし、湯気に包まれながら目を休める。銭湯は”入浴中のアイケア”を実践する理想的な空間です。

◯脱衣場にスマホを置くことで、強制的に視覚刺激から解放されデジタルデトックスできます。

◯広い空間で自然に遠くを見ることで、近距離ばかりを見続けて緊張した毛様体筋をリラックスさせることができます。また上を向き、高い天井に目をやることで、気持ちが上向く効果があります。
(参照:脳科学者篠原菊紀氏「落ち込んだとき、姿勢を正して上を向けば気持ちも上向きに?」

◯浴室に充満した蒸気が、乾燥した瞳に潤いを与え、マイボーム腺(油分を出す腺)の働きを助けます。

◯豊富な湯量により安定した温熱効果が得られ、副交感神経が優位になりやすい環境が整います。

銭湯の蒸気、温もり、静けさは視覚刺激を減らし、体の深部まで温めてくれます。そこにホットアイマスクを重ねれば、疲労回復効果はさらに高まります。

 

実践! 銭湯で「ホットアイマスク」

1. カランの熱めのお湯でタオルを絞る(40〜42℃程度が理想。やけどには十分注意してください)
2. 洗い場に座ったまま、もしくは湯船の縁に頭を預け、リラックスした姿勢をとる
3. 絞ったタオルを目の上に乗せ、鼻呼吸を意識する
4. そのまま3〜5分。意識を「じんわり伝わる温かさ」だけに集中させ瞑想

※炎症や強い腫れがある場合は温めないでください。
※タオルがぬるくなったら、再び1〜4を繰り返してください。

視界がパッと明るくなり、頭の重みが軽くなる瞬間が訪れるはずです。

 

目の温冷交代ケア、試してみました

ところで、目にも温冷交代は有効なのでしょうか? 明確なエビデンスとなる論文は見つかりませんでしたが、眼科医による紹介記事が複数あったため、実際に試してみました。

方法は簡単です。温めたタオルと冷たいタオルを交互に目元に当て、血管の拡張と収縮を促します。ポイントは最後を「温」で終えること。しっかり血管を拡張して巡りを良くしておきましょう。

試した結果
脳がしゃきっと冴え、目が元気になる感覚がありました。ただし、癒しとリラックスを重視するなら、ホットアイマスクだけのほうが適しているかもしれません。目の疲労度やその時の気分に合わせて使い分けるとよいでしょう。銭湯の洗い場なら、お湯と水がすぐだせるので非常にやりやすいです。

近年、温冷交代浴でととのえることに注目が集まりがちですが、この目を「ととのえる」ということを意識してみてください。それだけで、入浴による回復の質は大きく変わります。水風呂が苦手という方にも取り入れやすい方法です。

入浴+ホットアイマスク――新しい銭湯習慣を、今日から始めませんか。


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