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東京メトロ有楽町線平和台駅から徒歩3分。たくさんの車が行き交う環八通りから少し住宅街へ入ったところにある「ゆ~ポッポ」を訪ねた。外観は、白壁に緑色の看板と仕切り枠が目を引く。

現在の建物は1998(平成10)年に建て替えたもの。その際に「朝日湯」から「ゆ~ポッポ」に屋号を変更した。「子どもたちに好かれるような屋号がいいなと思って変えたんです」と話すのは、銭湯経営50年のキャリアを持つご主人の小林勲さん。

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改築の際は、当時都内の銭湯で初めて全館段差がないバリアフリーを実現したほか、体の不自由な人が入浴できるように専用の車椅子を用意するなど、進取の気性が読み取れる。トイレも車椅子でも入れるように配慮されているせいか、他の銭湯では見られないほど広い。

さて、銭湯は建てた年代や建築会社によって造りが似ていることがあるが、銭湯専門ではない建築会社が建てた「ゆ~ポッポ」の造りは独特だ。男湯の浴室壁面は白を基調としたタイルにカラーのラインが入った珍しいデザイン。また、改築後20年近く経つが、こまめな手入れに掃除が行き届いていることもあって、全体的に古さを感じさせないのがすごい。カランの間隔が広いので、隣に必要以上に気を使わないで済むのがありがたい。他にも仕切りがついたブースが用意されるなど、利用者への様々な配慮が感じられる。

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お風呂は日替わりハーブ湯(この日は桃の葉湯)、2種類のジェットがある大きめの湯船、底から気泡が出るバイブラの湯船が並ぶ。「リラックス風呂」と名付けられたジェットの一つは仰向けに寝て入るタイプ。複数のジェットが背中と足をマッサージし、冷たい水枕も心地よい。その隣の「ボディマッサージ」は四方からジェットが噴出し、全身をくまなくマッサージしてくれる。この水流がなかなか強力で、背中や肩の張りによく効く。ガラス戸の仕切りの外には露天風呂もあって、外気に触れながらの入浴が楽しめる。ちなみにお湯は井戸水を蒸気ボイラーで沸かしているとのこと。飲用での提供はしていないが、この井戸水は質がよく、飲んでもおいしいとのことなので、肌にもよさそうだ。

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これらの湯船の反対側にあるレンガ作りの一角は、蒸気ボイラーの熱を利用したサウナ。7~8人は入れそうな大きさで、なかなかパンチが効いた熱さだ。サウナでほてった体を、隣に設置された深くて広い水風呂でキュッとしめると、汗とともに心身の疲労も流れ出たのか、ちょっとした幸福感に包まれた。

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湯上がりは、銭湯としてはかなり広いロビーで休憩。喫茶スペースになっていて、ジュース、アイス、ビールなどを販売している。筆者はビールを頼んだが、ジョッキ一杯300円でつまみ付きという、お得な値段がうれしい。これはおかわり必須だ。

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さて、ご主人の小林さんは学生時代に受験で挫折したのをきっかけに「日本一の風呂屋になろう」と決意したという。「でも風呂屋の世界には“上”がたくさんいて、日本一どころじゃなかったね」と昔を思い出して笑う。

銭湯経営の醍醐味について「風呂上がりはみんなニコニコしてるんだけど、その様子を見ていると、風呂屋でよかったなと思うね。杖をついてやってきたお客さんが、帰るときには調子がよくなって、杖を忘れて帰ることもよくある。健康維持に役立って、お金をもらって感謝されるんだから、恵まれた商売だと思うよ」と話す。

日本一を目指してから半世紀。小林さんの情熱が具現化した「ゆ~ポッポ」には、この日もひとときのやすらぎを求めて開店早々からたくさんのお客さんが訪れていた。
(写真・文:編集部)


【DATA】
ゆ~ポッポ(練馬区|平和台駅)
●銭湯お遍路番号:練馬区 5番
●住所:練馬区北町6-4-13
●TEL:03-3933-3564
●営業時間:15~24時
●定休日:月曜(祝日の場合は営業)
●交通:東京メトロ有楽町線「平和台」駅下車、徒歩3分
●ホームページ:http://www.yu-pop.jp/
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店を切り盛りする小林勲さん(左端)とご家族の皆さん

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ビール以外にも喫茶メニューがいろいろ揃う

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女湯の壁は男湯とデザインが異なる

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体の不自由な人でも利用できるように用意された入浴用車椅子