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前回このコーナーで、銭湯入浴を利用した水中運動の利点について概要をお話ししました。そのポイントは、水中運動にはエアロビクス(心肺持久力運動)的なもの、トレーニング(筋肉調整運動)的なもの、ストレッチ(柔軟性運動)的なものの3種類があり、これらをバランスよく組み合わせて行うことが大切だということです。また、基本的には顔の部分が水に浸からないように行うとも述べました。

水中運動のよさの一つが、水の抵抗を重く感じること。毎秒1mの速度の動きでは約3㎏の抵抗があるのですが、2倍の毎秒2mになると10㎏以上になるのです。一方、水の中では浮力が働くため、体はとても軽く感じます。膝や腰が痛くて普段あまり運動できない人でも、浮力と抵抗力という2つの独特な作用がある水中運動は、簡単で楽なわりに効果が高い、地味なスグレモノといえるかもしれません。

どんな動きを湯船の中で行えばいいのか、上越教育大学の清水富弘先生(学校教育学部生活・健康系教育講座)考案の「銭湯体操」(2004年)について、順を追って説明していきましょう。まずは水中運動の基本姿勢から。

銭湯体操の基本姿勢には「足浴」「腰浴」「胸浴」の3つがあります。そして胸浴には一般パターンのほか、正座モードとコミュニケーションモードの3パターンがあります。

基本的な流れは「足浴」→「腰浴」から「胸浴」→「足浴」の順に行いましょう。それぞれの流れの中で使う体の部位は、水位の変化で生じる浮力や抵抗を考慮した結果、「足浴」が下肢を、「腰浴」が下肢と股関節、および体幹を、「胸浴」が上肢を中心に組み立てられています。まず今回は、それぞれの基本姿勢をイラストで示しますので、よく頭に入れておいてください。
※まわりの人に迷惑をかけないように注意するほか、各銭湯のルールに従って行動してください。

 

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①足浴……湯船のふちに背筋を伸ばして座ります。上体と大腿、大腿と下腿はそれぞれ直角になるようにして下腿の中央部分から下がお湯につかるのがベストな姿勢です。手は太ももか膝に置きましょう。

 

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②腰浴……湯船の中にステップがあればイラストのように座り、みぞおちから下がお湯につかるようにします。手は太ももか膝に置いても、太ももを抱えるようにしてもかまいません。ステップの高さ次第で膝が水面に出てもかまいません。

 

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③胸浴・一般パターン……浴槽の底に腰を沈めて膝をやや上げ、背筋を伸ばします。あるいは可能なら、膝を曲げずに大腿と下腿を一直線にしてもかまいません。手は太ももか膝の上に置きます。

 

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④胸浴・正座パターン……イラストのように湯船の底で正座する姿勢です。手は太ももか膝の上に置きます。

 

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⑤胸浴・コミュニケーションパターン……姿勢は一般パターンと同じですが、仲間と一緒に銭湯体操をする場合はこのように向き合う姿勢をとることもできます。

以上が清水式銭湯体操の基本姿勢です。まずはこれをしっかり覚えて、次回から掲載する運動パターンを実践してください。なお、ちょっと古い情報ですが2010年3月18日のYOMIURI ONLINEに掲載されていた銭湯体操に関連する記事を紹介します。

大きな浴槽には、入浴しながら体を動かせるという利点もある。上越教育大の清水富弘准教授(運動生理学)は、「お風呂の中での運動は、健康効果が絶大」と言う。

入浴中は、体が温まっているので、ストレッチには最適。また、水の抵抗による負荷を利用して、筋力を鍛えられる。湯の温かさや水圧、水流が感覚を刺激し、脳の活性化にもつながるそうだ。

ただし、入浴時には心拍数が上昇しているので、無理は禁物だ。40度以下の湯で、自分のペースを守ってやること。脱水を起こさないよう、十分な水分補給も忘れずに。

風呂で体を動かした後は副交感神経が活発になり、心身がゆったりする。清水さんは、「座るか横になって、体を休めましょう」と勧める。

富山大学の研究では、銭湯で40度の風呂に入った場合、同じ温度の家庭の風呂に入った時と比較して、体の中心部の温度が0.2~0.3度高かった。この効果、実は、銭湯まで15分ほど歩いて行ったため。よく「銭湯は体の芯まで温まる」と言うが、こまめに体を動かす心がけが肝心なようだ。


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