前編はこちらからどうぞ


では早速、お風呂へ。

■機能で健康づくりに貢献
男湯浴室は、正面奥壁沿いに主浴槽。左からまず、超微細気泡を発生させエステ効果や洗浄効果を高める乳白色の「絹の湯・シルク風呂」があります。湯加減も丁度良く、肌触りはとても滑らか。こちらは温泉気分で年配客にも人気のようです。

仕切りの右は座に腰掛けることができる「電気マッサージ」。こちらは 揉む・押す・叩く のローテーション式で、ご主人イチ推しのアイテムとのこと。

主浴槽右奥には縦に2点の「ハイパー・ジェット」がスイッチ式で備えられています。サウナーならぬジェッターを自称する私ですが、こちらのジェットはなんとも最高! 強力ハイパーな圧は言うまでもなく、縦2点の配置が絶妙に良く、肩と腰、背中とお尻、腰と腿と、すっかり虜になりました。ただし、スイッチ1回約3分で交代するのがマナーですね!

さらに入り口に背を向ける位置で7点ジェットを備えた「座風呂」も用意されており、こちらもボタンスイッチ式。均一な水流が心地良いです。これらの浴槽には、井戸水を汲み上げ「天然ミネラル温水装置」に循環させた、たっぷりの白湯が使われています。

さてどこから入ろうか……

メンテナンスが良く、均一な水流

さて、ひと通りお湯を楽しんだと思いきや、何やら仕切られた小部屋が目に入ります。
そう、まだまだ<健康づくり>の仕掛けが用意されているのです。

主浴槽の右手前にある仕切られた空間は、野趣がある岩造りの「薬風呂」です。こちらは頭上から外気が入る露天風呂で、じっこうの薬湯で暖まりながら感じる外気の心地よさはたまりません。お湯もぬるめに設定され、ずっと入っていたくなる露天薬湯です。

大人4人サイズで広々

「アァ~……」ついのんびりと

さらに、浴室左奥の小部屋に入ってみましょう。
こちらが女将さんのイチ推し、先ほど玄関で見た「ラドン発生装置」による「ラドン風呂」です。お湯はかすかに色味が見え、わずかに鉱物の匂いがします。皮膚からだけでなく吸気からも効能を得られるとのこと。新陳代謝活性などの効果と相まって、とても体が温まるお湯でした。

仕切られた空間で全身浴のイメージです

江戸っ子を代表する浅草っ子も、熱い湯にサッと入ってすぐ上がるというイメージですが、これだけスペックが多い上に居心地が抜群だと、ついつい長湯になってしまいますね。(記事もついつい長文になってしまいます……)

では最後に奥の手を出しましょう、もう少しお付き合いを!

「遠赤外線ラドンサウナ」も完備しており、若いお客さんにも大人気です。
上下2段で8人が座れ、演歌が流れる快適な乾式サウナです。敷物はありませんが、中は毎日清潔にメンテナンスされているのがわかります。慣れたお客さんは「マイサウナマット」持参で利用しています。温度も高めでバッチリ、ラドン浴サウナを堪能できます。そしてなんとこのクオリティでサウナは無料! これがご主人の弟さんのイチ推しです。

マナーの良いお客さんが多いサウナ

相当な発汗効果を感じました

 

サウナを出たら入り口の立ちシャワーで汗を流し、薬湯脇の水風呂へ行きましょう。露天薬湯に椅子を持ち込んで外気浴をするお客さんも、ちらほらといます。

水風呂は大人4人が入れる広々サイズ

新鮮な地下水がたっぷり流れています

多彩なお湯とこれだけの飽きない設備、それらの全てが行き届いたクオリティで提供されています。フィジカルな効能は言うまでもなく、この居心地の良さと満足感から得られるメンタルな効能こそが、鶴の湯の最大の魅力かもしれません。きっと誰もが長湯になることでしょう。

「とてもよく温まりました」とご主人に言うと「上着を忘れて帰ってしまうお客さんがたまにいるんですよ」とのこと。なるほど、わかる気がします。また開店直後に来たお客さんが日が落ちる頃までいて「あれ、まだいたの!」なんていうこともあるそうです。それもわかるなぁ。

優しく朗らかなご主人の菅山さん

世間話をしていると、ご主人と私は同い年で、隣の中学校だったことが判明(笑)。共通の知り合いの話で、しばし取材を忘れて盛り上がってしまいました。
「設備も多いし日々の維持も大変だけど、やっぱり銭湯って昭和の雰囲気でありたいよね。だからこの建物をいかに残してゆくかをまず大事に考えてる」と最後に語ってくれました。二人で見上げれば、そこには歴史ある天井と柱。レトロでハイスペックな下町の快適銭湯。頑張れ同級生!

最後に地元の我々二人から情報です。
浅草寺から観音裏、奥浅草を通って鶴の湯にアプローチするのも楽しいですが、東武浅草駅から隅田川沿いの公園を進み、山谷堀公園を経由して紙洗橋交差点まで出るお散歩ルートも気持ちがいいですよ! 特に桜の季節はおススメです。途中にあるデートスポット「今戸神社(縁結びの神様、招き猫発祥の地と言われる)」に立ち寄ってお参りするのも楽しいです。桜の季節には、ぜひカップルで鶴の湯へ!!
(写真・文:銭湯ライター 佐藤明俊

隅田公園~山谷掘ルートがおススメ

静かで歩きやすく、散歩に最適!


【DATA】
鶴の湯(台東区|浅草駅)
●銭湯お遍路番号:台東区 22番
●住所:台東区浅草5-48-4
●TEL:03-3872-7753
●営業時間: 14~23時
●定休日:木曜(祝日の場合は前日の水曜休)
●交通:つくばエクスプレス「浅草」駅より徒歩12分
東京メトロ銀座線「浅草」駅よりバス。「東浅草1丁目」下車、徒歩2分
●ホームページ:http://taito1010.com/component/mtree/sento-list/tsuru_asakusa.html?Itemid=
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