忘年会から新年会へ。宴の名は変わっても、しょせん同じ飲み会。しかもつい度を過ごしがちな飲み会が続く季節です。翌日の仕事を考慮して、なるべく早くお酒を抜くべく「入浴」を選ぶ、という非常識な人が、いまだに多いようです。そもそも「風呂に入ると、お酒が抜ける」という話自体がとんでもない誤解。飲酒後の入浴によってお酒が抜けるどころか、むしろ酔いを加速させてしまう可能性があります。飲酒後の入浴によってアルコールが全身へ回った結果、酩酊状態となり、溺死してしまうケースがまだ多いのが実情です。銭湯の経営者も酔っ払い客は迷惑この上ありません。それが原因で年に数回、救急搬送の連絡をしなければならない浴場もたくさんあるようです。

言うまでもありませんが、お酒に酔った状態で入浴すると、お酒が抜けるどころか酔いを加速させてしまいます。それは、アルコール自体に血管を拡張して血行を促進する効果があり、熱いお風呂に入ることで、温熱効果により、一層血液の循環を活発にしてアルコールを全身に行き渡らせてしまうからです。

また、急激な血圧の変化に体がついていかなくなり、失神や心筋梗塞、不整脈、脳梗塞を起こす可能性が高いのです。いわゆる「ヒートショック」現象です。これらのリスクは、年齢とともに高くなる傾向にあります。ここでもう少し、飲酒後の入浴の危険性について見ていきましょう。飲酒後の入浴が体に悪いのは、ヒートショック以外に、①体内の水分が急速に失われてしまうこと、②アルコールの分解を妨げてしまうこと、が挙げられます。

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①については、飲酒後の入浴は体内の水分を急速に消費し、脱水症状を招く原因となります。これは、アルコールの持つ利尿作用によるものです。しかも私たちの体は、体内のアルコールを分解するために、摂取したアルコールとほぼ同量の水分を消費します。ただでさえ水分不足のところに、重ねて入浴まで行うわけですから、体内の水分が入浴によって加速度的に失われていき、水分不足に拍車をかけてしまうことになります。結果として、体は極度の脱水状態となり、激しいめまいや嘔吐などの脱水症状を引き起こしてしまう可能性が考えられます。

次に②。お酒を飲んだ後、私たちの血中に占めるアルコール濃度が高くなっていることは言うまでもありません。私たちの体は、できるだけ早く血中のアルコール濃度を下げるべく、肝臓でアルコールを分解しているのです。しかし、本来は肝臓へ送り込まれるはずだった血液が、入浴により筋肉へ分散されてしまいます。その結果、アルコールの分解を行う肝臓に血液が集められず、アルコールの分解速度が遅くなってしまいます。この結果、体からアルコールを抜くどころか、一向にアルコールが分解されず、二日酔いや体調不良の原因となってしまうのです。

アルコールを飲むと、それを分解する際に生じたアセトアルデヒドという成分によって、血管が拡張し血圧が下がります。さらに、このアセトアルデヒドのもたらす血圧低下に反応して、血圧を維持しようと交感神経が活性化するために血圧が高くなるのです。つまり飲酒後は、血圧が常にアップダウンを繰り返している状態なのです。さらに寒さの厳しい今の季節、家庭での入浴は浴室との気温差によって、より一層血管や心臓への負担が大きくなるため注意が必要です。この点で、脱衣場の暖かい銭湯は、そのリスクが軽減されるのです。

ついでに申し上げますと、入浴中の飲酒も同じように危険です。お酒を飲みながら入浴するということは、銭湯ではあまりないと思いますが、旅先などではよくあること。確かに、旅先の露天風呂などで飲むお酒は格別ですが、熱いお風呂に浸かり、血行が促進された状態で摂取したアルコールは、すさまじい勢いで全身に行き渡ります。つまり飲酒後の入浴よりも、入浴中の飲酒のほうがさらに危険なのです。

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では、飲酒後の入浴はどのようにすればリスクが減るのでしょうか。まず、お酒を飲んだ後2~3時間は入浴を避けることが基本です(もちろん飲んだ量にもよります)。次に、熱い湯には浸からないこと。できれば、38~39度くらいのお湯で体を洗うことにとどめておきたいものです。どうしても湯船に浸かりたい場合は、38度前後のぬるめの湯が望ましいのですが、あまりぬる湯の浴場はありませんから、「飲んだら銭湯にはいかない」と肝に銘じておきましょう。

なるべく早くお酒を体から抜きたいのなら、行うべきは「入浴」ではなく「水分補給」です。 繰り返しますが、アルコールには高い利尿作用がある上に、摂取したアルコールを分解する際、摂取したお酒とほぼ同量の水が必要となります。脱水症状等を未然に防ぐためにも、できるだけ水分補給を行うようにしてください。一番いいのは、飲酒中に適宜水分を補給すること。とはいえ酔いが進まないので、結果的にたくさんお酒を飲んでしまうことにもなりかねませんが。


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