2022/04/27

トピック

近年「銭湯を経営してみたい」「銭湯の仕事をしたい」と希望する方が幅広い年齢層で増えています。とはいえ、家族経営が多い銭湯の仕事に、未経験の方が新たに関わるのはなかなか難しいのが現状です。

そこで東京都浴場組合では、銭湯で働くことに興味を持っている未経験の方に、銭湯の経営や仕事の魅力を伝えつつ、実際に仕事を体験してもらい、将来的に銭湯での就業へつなげることを目的に「銭湯の担い手養成講座」を企画しました。

「ステージ1」は、2021年7~8月にかけて「府中湯楽館 桜湯」を会場に3回実施し、計18名が参加。開店準備全般の説明、銭湯全体の見学、浴室や脱衣場の掃除、銭湯経営に関する講義などが行われました。「ステージ2」は、2021年11月に「立川湯屋敷 梅の湯」で実施され、計4名が実際の就労形態により近い24時間の勤務に就き、掃除や開店準備、フロントの接客などを体験しました。

さらに今回は銭湯の湯沸かしシステムについて学んでもらおうと、同講座の最終となる「ステージ3」が4月9日に開催されました。会場は調布市・梅の湯と立川市・松見湯です。参加したのは「ステージ2」を受講した4名、講師は「ステージ1」「ステージ2」に引き続き、立川湯屋敷 梅の湯のオーナーでもある佐伯雅斗(まさとし)さん。

露天風呂やサウナなど設備が充実している調布・梅の湯

 

調布・梅の湯では、昭和の頃より長らく湯を沸かすのに使われてきた「平釜」の構造を中心に学びました。長さ4m以上ある煙道を燃焼ガスが通ることで湯を沸かす、銭湯ならではの独特の釜の構造に受講生は興味津々。基本的には雑燃料(廃材等)を燃やすほか、雑燃料がない場合は可動式バーナーを設置することで重油が燃やせるという仕組みについて説明を受けました。

平釜の説明をする梅の湯店主の田村さん

 

当日は営業日だったため、梅の湯の店主・田村治吉さんの指導のもと、灰を掻き出したり実際に廃材を釜にくべる体験も。焚き口に廃材を入れる瞬間は、燃え上がる炎の想像以上の熱さに、受講生が驚きの声をあげる場面も見られました。

焚き口にたまった灰を掻き出す受講生

 

釜に廃材をくべる受講生

 

また、バックヤードでは沸かしたお湯が浴槽へ注がれる様子や、温度調整を経たお湯がカランやシャワーへ流れる仕組みについて学びました。

バックヤードで沸いたお湯が浴室へ流れる仕組みを説明する佐伯さん(写真中央)

 

沸いたお湯を適温にする調節箱(写真中央)の前で仕組みを聞く

 

梅の湯の講義の後は、この日の4日前にリニューアルオープンしたばかりの松見湯へ向かいました。

こちらの湯沸かしシステムには、家庭でよく使われている「瞬間湯沸かし器」が採用されています。店の裏には瞬間湯沸かし器が5台設置されており、お客さんのお湯の使用量に応じて、稼働する湯沸かし器が増減するという、最新のシステムです。

リニューアルにあたって松見湯で採用された5台の瞬間湯沸かし器

 

最新の湯沸かしシステムについて説明を受ける

 

お湯を沸かして貯めておく平釜やボイラータイプよりも、熱効率に優れる最新の湯沸かしシステムとバックヤードを案内された受講生は、先に見学した調布・梅の湯とは全く異なる仕組みを興味深く見学していました。松見湯のバックヤードと店内を見学した後、佐伯さんより受講生に修了証が手渡され、今回の講座は終了しました。

ろ過器などが整然と配置された松見湯のバックヤード

 

松見湯店主の平沢規雄さん(写真左)の案内で店内も見学

 

各受講生には佐伯さんよりステージ3修了証が授与された

 

受講生からは「薪で炊くお風呂を始めて拝見し心打たれるものがあった。自分が毎日やる!となったときに体力的な不安はある」「銭湯経営は体力勝負であると感じた。だからこそ家族の協力や自身の健康が大事だと強く思った」などの感想が聞かれました。

佐伯さんは「3回に分けて行った講座で、銭湯の仕事については一通り学んだことになる。実際に銭湯の経営者や働き手になるのは勇気がいると思うが、組合としても支援するので、今回の講座で学んだ経験を活かして、ぜひ銭湯の担い手として活躍してほしい」と話しています。

今後は、銭湯の賃貸を希望したり働き手を求める銭湯経営者と受講生を結びつけ、就労機会へとつなげる仕組みも始まります。また、東京都浴場組合では2022年度も銭湯の担い手養成講座のステージ1~3を開催します。ステージ1は6月末の開催を予定しており、5月中旬より受講生を募集いたします。詳細は決定次第、ホームページで告知いたします。

担い手講座ステージ3を修了した皆さんと講師の佐伯さん