2021/08/20

トピック

近年、映画やドラマなどで銭湯が取り上げられる機会が増えたことや、若い世代のサウナブームなどにより、「銭湯を経営してみたい」「銭湯の仕事をしたい」と希望する方が幅広い年齢層で増えています。とはいえ、家族経営が多い銭湯の仕事に、未経験の方が新たに関わるのはなかなか難しいのが現状です。

そこで東京都浴場組合では、銭湯で働くことに興味を持っている未経験の方に、銭湯経営や仕事の魅力を伝えつつ、実際に仕事を体験してもらい、将来的に銭湯での就業へつなげることを目的に「銭湯の担い手養成講座」を企画しました。7~8月にかけて3回実施した「ステージ1」は計18名(1回6名)の定員に対して約160名の申し込みがあり、銭湯の仕事への期待の高さをうかがわせました。

会場となった府中湯楽館 桜湯は、約2年の休業を経て2020年1月に再開した銭湯です。
講座当日は開店準備全般の説明、銭湯全体の見学、浴室や脱衣場の掃除、銭湯経営に関する講義などが実施され、講師は桜湯オーナーの佐伯雅斗(まさとし)さんが務めました。

男湯の脱衣場が講義会場

 

店内の見学では、佐伯さんが脱衣場を大正ロマンを感じさせる雰囲気にリニューアルした狙いやその効果、浴室では薬湯や白湯などそれぞれの浴槽の特徴、バックヤード見学では湯を沸かす仕組みや塩素添加などについて、それぞれ説明を行いました。

女湯の脱衣場

 

女湯の浴室

 

バックヤード(機械室)

 

次に動画で清掃のポイントを学び、その後、男女の浴室各3名ずつに分かれて実際の清掃作業へ。実施した日はいずれも気温が高く、参加者はみな汗だくの作業となりました。参加者の中には「お風呂屋さんはこの掃除を毎日やってるんですよね。これは大変ですね……」と不安げな表情で話す人も。

動画で清掃ポイントを学ぶ

 

デッキブラシで磨いた床を流す

 

清掃指導を行ったのは店長の加藤さん(左)

 

浴室を経て脱衣場やロビーの清掃を行った後は、実際に桜湯を再開させるために掛かった費用の説明などを含めた銭湯経営に関する講義の時間となりました。「銭湯ではお客さんの数が増えても固定費があまり変わらないため、お客さんが入るようになれば利益があがりやすい。そこに到達するまでは大変だが、商売としては魅力的な業種である」という佐伯さんの話には参加者一同がうなずく姿が見られました。

銭湯経営について熱く語る桜湯オーナーの佐伯さん

 

また、質疑応答にあたっては「どうすれば銭湯を借りることができるのか」などの質問が飛び出し、受講生の熱意が強く感じられました。

佐伯さんに質問する参加者

 

今後の「銭湯の担い手養成講座」では、実際の就労形態に近い経験を積んでもらう「ステージ2」「ステージ3」の開催を予定しています。この講座に参加した計18名の受講生の中から、未来の銭湯経営者が数多く生まれることが期待されます!

 

未来の銭湯を担う計18名の頼もしい受講生たち