西武池袋線で池袋駅から急行なら2つ目という交通至便な「ひばりヶ丘」駅。ベッドタウンとして人気のこの町で店を構えるのが「ゆパウザひばり」だ。斬新な屋号の由来は「2000年に店を建て替えるまでは “桐の湯” だったんです。でも、建て替えてモダンな造りになるのに昔ながらの屋号はどうかな、と。妻とさんざん悩んだ結果、楽譜に使う休符の “パウザ” という言葉を取り入れることにしました」とご主人の広野輝夫さん。なるほど「湯で休息」の意味が込められているのだ。

 建て替えにより瀟洒なマンションの1階に店を構えるビル銭湯になったが、その際に導入した設備がちょっとすごい。「ちょっとやりすぎなのでは?」と思うほど、たくさんの設備が揃っているのだ。

 取材当日、筆者は2つある浴室のうち、ピンク色のタイルで彩られた「天使の湯」を利用した。明るい浴室に足を踏み入れると、壁際の湯船にさまざまな設備がずらりと並び、いやがおうにも期待が高まる。

 ジャグジー、リラックスバス、ヒップアップエステ、ジェットバス、ボディーマッサージ、座風呂、電気風呂と、たくさんある設備を空いている順にいろいろ試してみる。お湯の温度は熱くもなくぬるくもない。ジェット系の勢いはなかなか強力で、中でもヒップアップエステは、お尻をぐいぐいと持ち上げてくれる。「男が尻を持ち上げてどうする!」とも思ったが、女性には人気の設備なのかもしれないとひとりごちる。電気風呂も強力だ。

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 日替わりの薬湯は独立した湯船だ。この日は鮮やかなブルーのヒアルロン酸で、初夏の汗ばむ陽気にぴったりだった。なお、毎週日曜日は季節に合わせた生薬、月曜日は漢方の実母散(じつもさん)に固定されており、いずれも人気とのこと。薬湯は他の湯船よりもお湯がぬるめでじっくりとつかれるので長湯する人も多いようだ(薬湯の月間予定表はTwitterにアップされている)。

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 次に奥のガラス戸を開けると、大きな露天風呂がある。湯船に陽光がふりそそぎ、心地よい風が吹きぬける。自然と一体となったような開放感にしばし時間を忘れる。

 ご主人おすすめのロッキーサウナは、10人近く入れるほどの大きさ。ロッキーサウナとは、石を熱して遠赤外線を発生させるタイプのサウナで、自動給水装置により水滴を石へ落下させるため、湿度が高く息苦しさを感じにくい。普通のサウナよりも汗が出やすい気もする。隣り合わせの井戸水をかけ流しにしている水風呂とサウナを何度か行き来していると、溜まった澱が取り除かれたようで、心身ともにすっきり。

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 緑色のタイルを基調としたもう一方の浴室は「エメラルド」と名づけられ、「天使の湯」とは若干異なるものの、こちらにもたくさんの浴槽設備が導入されている。ちなみにこちら側のサウナは遠赤外線サウナだ。2つの浴室は毎週月曜日に男女が入れ替わり、異なった設備を週替わりで楽しめるのがうれしい。

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 これだけ設備が充実しているがゆえに、お客さんは近隣の常連さんを始め、遠くからバスや車で訪れる人も多い(駐車場は10台分用意)。週末は家族連れも多く訪れ賑わうそうだが、これだけたくさんのお風呂があったら子どもはさぞかし喜ぶことだろう。また、沿線にある西武ドームで行われるイベントの後に汗を流そうと立ち寄る人や、飯能や秩父方面のハイキング帰りにひとっ風呂浴びる人も多いそうだ。

 自家風呂を完備した家が多いベッドタウンであり、なおかつ大規模な入浴施設が店を構える郊外という立地ながら、充実した設備で人気の銭湯「ゆパウザひばり」。銭湯料金でもお客さんを喜ばせようとする、経営者の心意気がしっかり固定ファンの心をつかんでいるようだ。

(写真・文:編集部)


【DATA】
ゆパウザひばり(西東京市|ひばりヶ丘駅)
●銭湯お遍路番号:西東京市 2番
●住所:西東京市谷戸町3-17-8
●TEL:042-421-6773
●営業時間:15〜23時半(日曜・祝日は13時〜)
●定休日:木曜
●交通:西武池袋線「ひばりヶ丘」駅下車、徒歩4分
●ホームページ:http://www.yu-pauza.com/
銭湯マップはこちら

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「天使の湯」は脱衣場もピンク色

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湯上がりは広いロビーで生ビールを!

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「ゆパウザひばり」の屋号を考案した広野さんご夫婦

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瀟洒なマンションの1階に店を構える