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 12月中旬の某日、木枯らしが吹く中、品川区西大井の閑静な住宅街にあるピース湯を訪れた。出迎えてくださったのはおかみさんの杉田由美子さんと娘の智恵子さん。お二人の朗らかな笑顔に、凍えていた頬が緩む。

 ポスターや花、手作りの品などが所狭しと飾られたロビーに見入っていると、「お客さんが持ってきてくださるの。飾っているうちにこうなっちゃって」とおかみさん。すかさず智恵子さんが「こんなに飾ってるのは、うちぐらいだよね」と言って笑う。

 さて、品川区の銭湯では65歳以上の方を対象に、週替わりで木曜日に健康体操とカラオケを行っている。ピース湯ではカラオケ講師に歌手のみやぎ健太郎氏を招き、その丁寧な指導が好評で、毎回多くのお年寄りが詰めかけるという。

 そしてピース湯一番の“売り”はオール軟水!  ’92年のリニューアル時に軟水装置を導入し、カランも含めた全てのお湯を軟水にした。この装置、大規模なうえに、井戸水を汲み上げて軟水にするまでにいくつもの工程を踏まねばならない。なんでも塩40キロ、180トンもの地下水を用いて軟水にし、それを3、4日かけて使うそうだ。おかみさんは「大きな投資をしたから簡単にやめられないの」と笑うが、「銭湯の原点はお湯」との強い信念で、大変な仕込みを続けている。

 開店の午後3時半。おかみさんが「寒かったでしょう。ゆっくりあったまっていってね」と常連さんに声をかける。私も待ちかねたお風呂を体験。目を引くのは浴槽の広さ。電気風呂、寝風呂、座風呂、マッサージ風呂と湯量たっぷりで贅沢感がある。これらに加え、サウナ、水風呂、別室にはこれまた広~い岩風呂まで用意されている。

 湯煙の中、お湯に浸かる。最初は少し熱く感じるが、体に熱が行き渡ると、ちょうどよい按配に。湯上がりの肌はなめらかで、帰途につく間もほかほかと温かさが持続し、軟水のよさを改めて実感。「ピース湯」の名に違わないお湯とおもてなしの心を堪能した。

※1010・132号で紹介

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水泳に畑仕事にと活動的なおかみさん

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田村隆一の銭湯をうたった詩のポスター

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軟水装置のタンク。この後ろに設備が続く

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少しぬるめの岩風呂でのんびり過ごせる

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ダイエットマシン

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常連さんの手作り品


【DATA】
ピース湯(品川区|西大井駅)
●銭湯お遍路番号:品川区30番
●住所:品川区西大井6-15-16
●TEL:03-3772-5281
●営業時間:15時半~24時半
●定休日:月曜(祝日は営業)
●交通:JR横須賀線「西大井」駅より徒歩8分
●ホームページ:――
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