皆さん、「銭湯の日」のラベンダー湯はお楽しみいただけましたか? 今ではすっかり北海道の夏の風物詩となったラベンダーですが、これは西洋ハーブの一種で、1937年にフランスから5kgの種を輸入したことから日本での栽培が始まったといわれています。ラベンダー栽培は現在、富良野が有名ですが、日本で最初に栽培が始まったのは、札幌市南区「南沢」。その翌年から北海道や本州で3年間の試験栽培をした結果、北海道が栽培に最適な土地であることを確認して、1940年に日本初の本格的なラベンダー農場が南沢に誕生したそうです。1942年には精油を抽出する蒸留器が設置され、日本初のラベンダーオイル採取に成功しました。

adobestock_108946530_th

ヨーロッパでは、ハーブを浴槽に浮かべて入浴することが好まれています。そして最近では、ハーブから抽出した精油をそのまま湯船に入れて入浴することも盛んに行われています。精油とは芳香植物の香り成分が凝縮されたもので、香料として用いられたり、健康や美容に役立てられたりします。このように、精油をお風呂のお湯に入れて入浴するやり方を「アロマバス」といいます。民間療法として行われているアロマテラピーの方法の一つが、このアロマバスです。

もちろん、ハーブを湯船に浮かべて入浴するのもアロマバスと同じ原理。ラベンダー湯に入れば、ラベンダーの精油成分が体に作用して、特にリラックスを高める効果があるといわれています。この効果は、精油成分が皮膚を通して体内に取り入れられることと、呼吸することで空気中に蒸散した精油成分が、肺を通して体内に取り入れられるという、2つの吸収経路によって実現するのです。

adobestock_104689917_th

端午の節句に行う菖蒲湯や冬至の日に行うゆず湯も、香り成分が体にいい作用を及ぼすという意味において、実はアロマバスなのです。要は、香り成分の心身に及ぼす効果がポイントなのです。芳香植物は数百種類ありますから、アロマバスも同じ数だけの種類があるといってもいいのですが、芳香植物の香りはすべてが芳香、つまりいい香りというわけではありません。便宜上「芳香」といってはいますが、中には大半の人が好まない香りというのも含まれています(好まれない香りの植物からも精油を抽出するのは、その精油の薬理的な効果が期待されているからです)。

ですから、心身のリラックスやリフレッシュを目的としてアロマバスに入るのであれば、基本的には「好きな香り」「いい香り」を選ぶべきでしょう。また、精油成分の中には皮膚刺激が強すぎて痒みや炎症を引き起こすものもありますから、注意が必要です。シナモン、クローブ、タイムなどはこの点、注意したほうがいいでしょう。リラックスやスポーツ後のケア、リフレッシュなど、目的別のアロマバス用ブレンドも発売されていますから、そういうグッズを使って新しいバスライフを楽しむのもいいかもしれません。

では、アロマバスに使うといいハーブをいくつか紹介しましょう。


ローズマリー
皮膚刺激が少なく、呼吸器系全般に対して炎症を鎮める作用があるため、カゼの予防に向いています。痰を切る効果もあるといわれます。

イランイラン
温かみのあるフローラルな香りが特徴。皮膚に活力を与え、再生を促す作用があるといわれています。

スイートオレンジ
お風呂に入れれば湯気とともに立ち上る甘い香りが特徴。リフレッシュ効果、リラックス効果がともにあり、不安や緊張から解放する効果があるといわれます。

ユーカリシトリオドラ
別名「ユーカリレモン」とも呼ばれ、柑橘系の香りを含むユーカリです。デオドラント効果があるといわれ、夏向きのアロマバスに最適です。

グレープフルーツ
一時、痩せる精油として話題になったことがあります。余分な水分を排出し、脂肪の分解を助ける効果があると言われます。セルライト対策によく用いられます。

コーンミント
ペパーミントよりもメントールの成分が多いため、すっきり感の強い精油です。心身に活力をよみがえらせ、神経を強くするといわれます。筋肉痛を弱めるのにも適しています。

マンダリン
気持ちを和らげる香りで多くの人を魅了する柑橘類。鎮静作用が強く、寝付きの悪い人にも効果があるといわれます。

ゼラニウム
 甘美な花の香りがホルモンバランスを整え、心身の不調を解消してくれるといわれています。

<注意>
精油を使用する場合は、天然100%の高品質なものを使用しましょう。
「肌に直接つけないでください」と書かれた精油はアロマバスにも向かないので注意が必要です。


(「銭湯で元気!」は毎月第2金曜日に更新します)