日本の歴史・文化において、銭湯は独特に進化を遂げてまいりました。

江戸時代の庶民は井戸水で体を拭いたりしていました。月に一度ぐらい知り合いのお寺や武家屋敷にお風呂をもらいに行き、「いただきます」で使わせてもらい、帰りには「ごちそうさま」とあいさつをしていました。江戸の町のあちこちに湯屋が誕生し、庶民は毎日でも入浴することができるようになり、重宝され、大繁盛をしたそうです。お客様は裸の付き合いをして友達になったり、商談をしたり、地域の情報を得たりたくさんの人が集まるようになり、地域にとってなくてはならない存在の湯屋文化が発達してきました。

当時は湯に入るのに料金は一銭だったそうです。

「一銭で銭湯」に入る事ができたので「銭湯」と呼ばれるようになりました。

現在ではどうでしょう。

体を清潔にし、環境衛生維持、病気予防はもとより、ランニングやウォーキングの基地としての利用や、リラックス、リフレッシュ、ストレス解消など、心の健康維持にも利用されています。

また、高齢化社会に入り、介護予防、引きこもり防止、認知症の見守り等の役割も担っていくことになるでしょう。

さらには、地域住民のコミュニケーションの場、子供達の社会的マナーの伝授の場、そして災害時の生活用水提供や避難所の提供等、地域への貢献も担っています。

体を洗うだけではなく、人と人とのふれあい、人情も含めて発達してきた日本の入浴文化を残していきたいと思っております。

2020年にオリンピック・パラリンピックも開催されます。日本のすばらしい文化を広く海外にも発信し、来日外国人にも体験していただけるよう受け入れ対策、観光資源としての銭湯に取り組んでまいります。

色々なニーズに対応した銭湯が数多くありますので、皆様の目的にあった銭湯を楽しんでいただければ幸いです。

皆様のご来店を心よりお待ちしております。

東京都浴場組合理事長  近藤和幸