※本記事は、銭湯PR誌「1010」154号(2022年12月発行)に掲載したインタビュー記事を再編集したものです。
お風呂はもちろんのこと、個性的な経営者の存在も銭湯の魅力の一つ。普段お店ではわからない、銭湯経営者の素顔に迫ります。
2016年から次々に斬新なPRポスターを発表するほか、独自のイベントで注目を集めている文京浴場組合。その仕掛け人が支部長を務める、大黒湯の岡嶋登さんだ。新しいアイデアが続々と生まれる背景についてお話をうかがった。
アパレルとデベロッパーで過ごした会社員時代
――大黒湯を継ぐ前はどんな仕事を?
岡嶋 風呂屋を継ぐ直前は、ショッピングセンター(以下、SC)を運営する会社で、社長を務めていました。大学を卒業して最初に入社したのは、総合繊維メーカー。アパレル部門の営業をしていました。
その会社が小田原に社宅と工場を持っていたんだけど、海外へ生産拠点を移して、その敷地が空いたのね。それでその敷地を活かしてSCを作ろうという話になって、アパレルの営業からデベロッパー部門へ転属になった。
――アパレルとデベロッパーはあまり関係なさそうですが?
岡嶋 根っからの不動産屋じゃないから、建築はアドバイザー会社に任せて、自分たちがやったのは、テナントを呼んで運営するほう。
SCのテナントの多くを占めるのが洋服屋さんなのね。出店ブランドを検討するのにアパレルの営業だった経験が役立った。それに百貨店に出入りしてたから、接客だとか店舗づくりでもアドバイスできる。アパレルとデベロッパーの仕事は意外と共通点が多かったよ。
ダジャレがキーワードのPRポスター
――大黒湯を継いだのはいつ頃ですか?
岡嶋 SCの運営のために13年、小田原に単身赴任してたんだけど、退職して風呂屋の3代目を継いだのが2009年。支部長になったのが2015年だね。
――2016年に登場したラブストーリー仕立てのポスターが大きな話題になりました。
岡嶋 最初に作った「チョコレートの湯」のキャッチ「銭湯(セント)バレンタイン」は、アートディレクターの発案でね(笑) イラストもいいでしょ! 「もも湯の日」は山口百恵の名前と歌詞に、桃を引っ掛けた(笑)
――キーワードはダジャレ(笑) 「生りんご湯の日」もインパクトありましたね。
岡嶋 リンゴが並んでいるだけじゃない、おもしろいポスター作りたいなと思ってたら、ちょうど「ペンパイナッポーアッポーペン」がはやってて「これだ!」って(笑) アートディレクターから「支部長、モデルをやってみたら」って言われて、まあやってみるかと(笑) そのポスターが好評だったから、翌年はジャイアント馬場の「アッポー」を借りて、その次は赤ずきん。でもリンゴと絡めたダジャレってなかなか思いつかないから、このシリーズは打ち止め(笑)
――浴場経営者をはじめ、文京組合のポスターにはいろいろな人が登場しますね。
岡嶋 アートディレクターが文京区在住で、PTA会長もやってるから知り合いが多いわけ。「いいモデルいない?」って相談すると「いるいる」って、区内に住む人材を紹介してくれる(笑) そうするとポスター見たお客さんが「この人、知ってる!」って話のネタになることもある(笑)
話題になった第一作目の「チョコレートの湯」ポスター
思わせぶりなセリフが話題を呼んだ「もも湯の日」ポスター
岡嶋さん自らモデルを務めた「生リンゴ湯の日」ポスター
ジャイアント馬場に扮した岡嶋さん。似合ってます!
軒数が少ない弱みを強みとして活かす
――「タオル祭り」をはじめ文京組合はひとひねりしたイベントが多いですよね。
岡嶋 「タオル祭り」は全軒同時配布じゃなくて、一軒一軒別々のタオルデザインにして、日にちをずらして配布するイベントにしたのね。それがすごく好評で、春と秋の定番になった。
でも、「タオル祭り」だとか、銭湯とアーティストを結びつけた「銭湯ミュージアム」も、軒数が少ない組合(取材時点で4軒)だからできるんだよね。軒数が多ければ、タオル祭りなら配布日を決めるだけでも一苦労だし、アーティストを探すのも大変。軒数が少ないっていう、組合の弱みを強みとして活かしたってことかな。
あと意識しているのは、文京区らしさ。今年の「鴎外の湯」も、文京区に住んでいた森鴎外の没後百年記念にちなんで、区が今年いろいろな事業を実施してるんだけど、銭湯も一緒に盛り上げられないかなと思って、区役所に相談してみたら参加することになった。
「鴎外の湯」はスタンプラリー、タオル祭り、まめ茶湯・ヒノキ湯を組み合わせたんだけど、タオル祭りの日に来たお客さんが「文京はタオルのデザインがいいし、いつもイベントが我が道を行く感じなのがいいよねー」って言ってくれてさ。狙いどおりの感想でうれしかった(笑)
――銭湯を通して地元を盛り上げる。
岡嶋 そう。でもね、森鴎外って実は大の風呂嫌いだったらしいんだよ(笑) まあ、それを逆手にとって「鴎外の湯」のイメージポスターを4種類作ったんだけど。内容はお店で確認してください(笑)
(写真・文:編集部)
文京区ゆかりの森鴎外にちなんだ「鴎外の湯2022」
昭和の任侠映画を思い出すマナーポスター
【DATA】
大黒湯(文京区|茗荷谷駅)
●銭湯お遍路番号:文京区 2番
●住所:文京区大塚3-8-6(銭湯マップはこちら)
●TEL:03-3941-5826
●営業時間:15時半~23時半(最終受付23時)
●定休日:月曜、毎月最終火曜日
●交通:東京メトロ丸ノ内線「茗荷谷」駅下車、徒歩7分
●ホームページ:http://www.sentou-bunkyo.com/daikokuyu.html
●X(旧Twitter):@04daikokuyu1010
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