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東京には砂町銀座、戸越銀座、武蔵小山など有名な商店街が数多くあるが、駒込駅のそばにある商店街は、霜降銀座、染井銀座、西ヶ原商店街と複数の商店街が連なる日本有数の長さで知られている。そんな商店街にほど近い住宅街の一角にある「香取湯」を訪ねた。

「初めて来るお客さんから、よく電話で場所を尋ねられるんだけど、住宅街でこれといった目印がないから説明がしづらいんだよね。商店街のほうから来てくれると説明しやすいんだけど(笑)」と笑うのは3代目の宮坂和宏さん。御歳92歳(2016年現在)になる2代目の宮坂三也さん、4代目の憲司さんとともに3世代で店を守っている。創業は昭和28(1953)年。平成6(1994)年に現在のビル型銭湯へ改装を行い現在に至る。

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午後2時。開店を待ちわびた常連さんとともに入店。フロントでは、2代目の三也さんと常連さんが気さくな挨拶を交わして浴室へ向かう。いかにも地元客に愛されている風景だ。三也さんは町会長を長らく務めていたというから、知り合いが多いのも納得。

小ぢんまりとした浴室は、大きな湯船が一つ、水風呂、サウナとシンプルな造り。深さ250mから汲み上げる井戸水が注がれる水風呂は、季節を問わず安定した冷たさで人気がある。夏は43℃、冬は44℃に設定されている風呂と水風呂を行き来すると、肌がしゃきっとして気持ちよい。

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サウナは入浴料とセットで500円と格安なので、利用客も多い。大きな湯船の片隅には肩こり解消に効くというショルダーマッサージがあるが、大きな筒が2本並んでいて、初めて利用する場合は一体どうやって使うのか、ちょっと戸惑うかもしれない。これは筒の上のほうからお湯が噴出しているので、筒の間に体を入れるのが正解。結構な勢いでお湯が流れているので、かなり効く。隣のボディマッサージは湯船の側面からお湯が噴出する仕組みだ。

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湯船から何気なく常連さんたちを見ていると、手刀で挨拶を交わす人、短時間で体を洗って湯につかるとササッと出て行く人と、銭湯通いが様になっている粋な人が多い。桶や椅子を出しっぱなしで出て行く人もいない。お客さんは常連さんの利用が多いそうだが、近くに学校が多いこともあり、学生さんが団体で利用することも多い。週末は家族連れも多く訪れるそうだ。

さて、現在の浴室になってから20年以上経つわけだが、浴室はどこも手入れが行き届いているので、気持ちよく入浴できる。

「人の体をきれいにするところなので、清掃は家族総出で毎日しっかりやっています」(憲司さん)というだけに、浴室は目地にいたるまでピカピカだ。「掃除さえなければ、こんなにいい商売はないんだけど(笑)、暑い季節の掃除は本当に大変です」(和宏さん)とも。

香取湯の周辺には、洋館とバラで知られる旧古河庭園、桜や紅葉が有名な六義園、3つの博物館がある飛鳥山公園など、多くの名所旧跡があるので、散歩ついでに訪ねるのもおすすめだ。魚屋、肉屋、八百屋などがならぶ昔ながらの商店街歩きも、きっといい思い出になるのでは。

「なんにも特徴がない」と3代目の和宏さんが話すように、香取湯は質実剛健なシンプルな銭湯だが、清潔な浴室で気持ちよく入浴できるのが何よりもうれしい。手ぶらセットも用意しているので気軽に立ち寄りたい。
(写真・文:編集部)

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浴室の入り口脇にあるサウナは、
入浴料とセットで500円と格安

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種類充実の湯上がりドリンクとアイス

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香取湯をささえる2、3、4代目と
生まれたばかりの5代目、晃太朗くん。
フロントデビューも近い?

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店の前に駐車場を完備

【DATA】
香取湯(豊島区|駒込駅)
●銭湯お遍路番号:豊島区 34番
●住所:豊島区駒込6-16-6
●TEL:03-3917-5582
●営業時間:14〜24時
●定休日:金曜
●交通:山手線「駒込」駅下車、徒歩10分
●ホームページ:http://www.toshima1010.org/sentozyoho/258.html
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