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【東京23区内で温泉を楽しむ】

はぁー、毎日会社と家の往復だけで終わっていくなぁ。たまには旅に出て、ゆっくり温泉なんかにつかってみたいなあ……、と言ってもそうそう休みも取れないし、週末はなんだかんだやらなきゃいけないことがたまってるし。いやそもそも、パッと旅行行けるお金なんて、ないっ! ……と、思いながら毎日真面目に通勤(もしくは通学)しているあなたに、心からの「お疲れさま」と共に、朗報です。

東京都内で、しかも23区内で、のんびりゆっくり湯治できる場所があります。しかも銭湯料金の460円。お金がなくても、時間がなくても、ちょっと電車に乗れば温泉旅行が出来ちゃう。そんな究極の癒しパラダイスは、大田区の蓮沼にあります。大田区蒲田界隈は元々黒湯温泉で有名ですが、蓮沼は、その蒲田から東急池上線に乗ってわずかひと駅です(五反田駅からでも22分)。その蓮沼駅から徒歩わずか2分のはすぬま温泉に、今回はお邪魔しました!

建物自体は昔ながらの宮造りではないのに、外観を見ただけで既にホッとするのは何故だろうと考えていて、漆喰と木を効果的に使用しているからだということが、ご主人の近藤和幸さんのお話を聞いて分かりました。

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どこか温もりを感じる外観

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シャッターにも見事な富士山

【古くから受け継がれるおもてなしの心】

実は、はすぬま温泉は去年の12月16日にリニューアルオープンしたばかりです。改装のコンセプトは「大正ロマン」をイメージしたという近藤さんは、「銭湯の改装というと、近代的なビル型銭湯が主流の今、日本の良さを演出したかった。その古き良き文化を再現して、タイムスリップしたような気分を味わって欲しかったから」と仰っていました。日本人は、懐深くさまざまな異なる文化を内包、吸収し、新しいものを作り上げることが巧みと言われています。大正ロマンという言葉から想起される懐古趣味的なイメージとは裏腹に、最新の技術と連綿と続いてきたおもてなしの精神あふれる様々な仕組みが功を奏し、これからの日本の行く末を見据えた改装だということがよく分かりました。

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ステンドグラスからの光が美しいロビー

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「ただいま」と言いたくなる温かみが漂う

ご主人のお話を裏付けるように、たくさんのお客さんに来て欲しいという思いがあふれた仕組みが中にも外にもたくさん。例えば、入り口の横にある看板には外国人のお客さんが、中はどうなっているか動画を見られるようQRコードが掲示してありますし、入ってすぐのロビーの床は円形にくり抜いてあり、覗き込むと下に池があり、気持ち良い水音をBGMに鯉が気持ちよさそうに泳いでいます。実はこの池はデジタルサイネージ技術による映像です!「なーんだ、本物の池じゃないのか」と思った方にぜひお伝えしたい! 本物の池では絶対に出来ないことが、この円形の池には出来るんです! それはレアキャラの登場。今の時期は浦島太郎が亀に乗って出てくるそうです。レアキャラだけに、なかなか出てきてくれないので、発見できた人はラッキー。季節によって出てくるレアキャラは変わるそうなので一年中通わないと、ですね。

【あらゆる方におすすめできる、極上の温泉体験】

はすぬま温泉は、すべての浴槽が温泉で、お湯は東京では珍しい薄い緑茶色をしています。浴槽が3つあり、加温された一番大きな浴槽には、壁に描かれた滝から流れ込むかのように、お湯がとうとうと落ちていくしつらえになっています。この日は、ヒノキの間伐材が浮かべられており、なんともいい香りが漂っていました。2つ目の浴槽は炭酸ガス入りの温泉となっていて、ぬるめのお湯にそっとつかると(炭酸泉のガスはちょっとした揺れなどでも抜けてしまいやすいので、入浴の時は静かに入るのがおすすめです)、体中に小さな泡がくっついてきます。炭酸ガスが皮膚から浸透して血管を拡張するため、血行促進効果を得られるそうです。また、弱酸性のため、お肌を引き締める効果もあるとか。思わず長めにつかってしまいました。3つ目の浴槽は水風呂ですが、この浴槽は源泉かけ流し。温泉成分が溶け出した源泉の水風呂と、併設されたサウナ(別料金)との往復で、サウナーの方もととのうこと間違いなしです。

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奥から主浴槽、炭酸泉、水風呂

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ヒノキの間伐材が浮かぶ浴槽

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温泉気分を盛り上げてくれるライオンくん

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洗い場の上には鮮やかな日本風絵画

【銭湯だけに、先頭を走る! ご主人の心意気】

ご主人の近藤さんは、東京都浴場組合の理事長を務めていて、自分のお店だけでなく、東京都の銭湯の将来も見据えて日々業務に邁進しておられることが、お話の端々からよく伝わってきました。現在の東京都の銭湯ひとつひとつが、それぞれの個性を活かした営業をすることにより、地域貢献を通して、コミュニティの中で確固とした地位を築いていきたいとキラキラした瞳で語ってくださいました。小池都知事とお話された時のエピソードで、近藤理事長のあまりの熱意に、「銭湯だけに、(進化の)先頭を走っていらっしゃるんですね!」というお言葉をいただいたそうです。はすぬま温泉を筆頭に、今後の東京都の銭湯の進化と深化が楽しみです。

早上がりできた平日の夜、もしくは週末、いつも頑張っている自分や家族に、たまには「温泉旅行」という小さなプレゼントをあげてみてはいかがでしょうか? はすぬま温泉では、ご主人やおかみさんの笑顔はもちろん、お客さんのたくさんの笑顔と共に、今日もいいお湯が沸いています。

(写真・文:銭湯ライター 山口安代


【DATA】
はすぬま温泉(大田区|蓮沼駅)
●銭湯お遍路番号:大田区 43番
●住所:大田区西蒲田6-16-11
●TEL:03-3734-0081
●営業時間:15~25時
●定休日:火曜
●交通:東急池上線「蓮沼」駅下車、徒歩2分
●Twitter:https://twitter.com/hasunumaonsen
銭湯マップはこちら

※記事の内容は掲載時の情報です。最新の情報とは異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。

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おかみさんの優しい笑顔が印象的

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丸山絵師による圧巻の富士山

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お母様は店内に飾る花を担当

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お母様手作りのスズラン

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こちらがパラダイスへの入り口です

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目にも気持ち良い、真新しい脱衣かご

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脱衣場のスピーカーからは水音や鳥の声が流れる

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なんと、映る人を少しだけ痩せて見せてくれる鏡

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銭湯マナーのポスターを店頭に掲示して、外国人客の心理的ハードルを下げる

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店頭に料金が書いてあると、なんだか安心(レストランと一緒ですね)

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可愛らしい目印看板。裏側には温泉マークの看板も