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銭湯イベントの開催をはじめメディアで取り上げられることも増え、銭湯ブームともいえる昨今ですが、銭湯の日常の姿で常連さんを喜ばせたいと頑張るのが「湯~ゆランドあずま」。豊島区池袋駅を背に山手通りに向かって都道441号線沿いに歩くこと10分。立教大学を中心とした閑静なアカデミックタウンで創業60年、3代続く銭湯です。

建物は昭和から平成に変わる頃に建てられた、マンションタイプの鉄筋コンクリート造り。10年ほど前までは「東湯」という屋号でしたが、読み違えが多いからと現在の屋号になりました。

開店の15時半を待たずに、ご主人がガラーッと勢いよくシャッターを開けると、常連方が店内に吸い込まれていきます。

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フロントをはさんで左手が男湯、右手が女湯。暖簾をくぐり、脱衣場に入ると、ビル型銭湯としては筆者が想定していた以上に高い天井。浴室との仕切りの曲線ガラスと植栽のおかげで、落ち着いた空間となっており、温室植物園にいるような不思議な感覚に包まれます。

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浴室へ入ると正面には、こちらの目玉とも言うべき高さ4mに及ぶタイル絵がまさに圧巻! 精巧なタイルの立体感に加えて、綺麗に掃除が行き届いているからこそ映える、艶やかでイキイキした風景が広がります。男湯は秘境の大河の滝から、女湯は紅葉で色づいた木々の中から渓流が、水の勢いそのままに真下の湯船に流れ落ちるように見えます。これはご主人がタイル屋さんに写真集を見せて、特別にオーダーしてできた力作。男女いずれのタイル絵も、実際に水が流れ出ているように思わせる迫力で、入浴客の目も心も体もリラックスさせてくれること請け合いです。

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ご主人にタイル絵の話を伺っていると、男女の仕切り壁にあるイチ推しの「イタリアンタイル」についても解説してくれました。以前、修繕のため30年前から使用しているこの自慢のタイルを壊さないといけない問題に直面したそうですが、新しいカラータイルをミックスすることで、元のタイルを残しつつ、修繕と耐震対策を図ったのだとか。「難題に直面した時に、よいアイディアって浮かぶもんですよ」とご主人。このイタリアンタイルに加え、竹を配した岩風呂などとも相まって、和洋折衷かつ独特のノスタルジーを感じさせる浴室になっています。浴室を見れば常連さんを飽きさせまいと奔走する、銭湯の総合プロデューサーの奮闘ぶりが伺えることでしょう。毎年必ず建物の「部分刷新」を行うこともご主人のこだわりです。

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薬湯、電気風呂、バイブラ寝風呂、ボディ風呂……。多彩なお湯のバリエーションも魅力の一つ。銭湯には熱い湯のイメージがありますが、こちらは40℃を少し超える程度でそれほど熱くありません。とはいえ常連さん曰く「家の浴槽と違って、夜道で30分は体が暖かい」とのこと。20年来常連の奥様は、岩盤泉の湯口を探して直接当てるのがポイントだと、さらさらした湯をすくいながら教えてくれました。

岩盤泉はさまざまな天然鉱石の粉末をタイル状にした石板が設置されているそうで、遠赤外線効果で体を芯から温めてくれるほか、様々な効能があるとのこと。岩盤泉の遠赤外線効果のようにじわりじわりと心身を暖めてくれる、湯~ゆランドあずまへぜひ足を運んでみてください。
(写真・文:銭湯ライター 北村麻紗実


【DATA】
湯~ゆランドあずま(豊島区|椎名町駅)
●銭湯お遍路番号:豊島区 16番
●住所:豊島区西池袋4-13-9
●TEL:03-3986-6997
●営業時間:15時半~25時半(日曜は14時から営業)
●定休日:火曜
●交通:西武池袋線「椎名町」駅下車、徒歩8分
●ホームページ:http://www.toshima1010.org/sento_ichiran-html#i-4
銭湯マップはこちら

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一番風呂を目当てに

吸い込まれていく常連の皆さん

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ふらっと立ち寄った時に

うれしい充実のアメニティ

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フロント前のソファースペース

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「色の洪水」と表現したいくらい

色とりどりの壁やロッカー

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男湯の岩風呂には

外光が直接差し込み、すがすがしい

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女湯の風景は

青森県・十和田湖畔から流れ出る奥入瀬渓流