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JR渋谷駅、恵比寿駅のちょうど中間。両駅から徒歩12分ほどのところに改良湯はある。1916(大正5)年に創業し、今年103年を迎える超老舗銭湯だ。

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外壁には目を引く大きなクジラのアート。恵比寿で毎年行われている鯨祭とのコラボ作品

■リニューアルオープンで渋谷・恵比寿の新たなシンボルが誕生

老若男女問わず、国籍問わず、さまざまな人が行き交う場所、渋谷。そんな土地柄を反映し、リニューアルのテーマは「渋谷 CROSSING」。「人と文化が交差し、今と昔が交差する。そんな場所になって欲しい」という熱い思いがこめられている。

デザイン、設計を担当したのは、クアパレス藤(板橋区)、光明泉(目黒区)、戸越銀座温泉(品川区)など、多くの銭湯のリニューアルを手掛けている建築家の今井健太郎さん。

浴室内に一歩入ると目に飛び込む、男湯と女湯を跨いだスタイリッシュなペンキ絵は、ライブペインティング等で有名なペインティングユニットGravityfreeが担当。Gravityfreeは近年、ふくの湯(文京区)や戸越銀座温泉など多くの銭湯でペンキ絵を手掛けている。

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黒を基調とした浴室内に、鮮やかなペンキ絵が映える

手前に広がるのは、誰もが今では想像もできないような渋谷の原風景。田畑が広がり、草木が生い茂る………。渋谷もかつてはそんな姿だった。

その向こうに広がるのが、「今」の渋谷である。高層ビルが立ち並び、時代の最先端を突き進む渋谷の姿と「昔」の渋谷の原風景を1枚の絵に。まさに「渋谷 CROSSING」を形にした、アート作品だ。

 

■ただ「カッコいい」だけじゃない。思いやり溢れる空間

改良湯の4代目を担うのは、大和伸晃さんと慶子さんご夫婦。

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エプロンにも「改良湯」ロゴが

もともと初代が銭湯文化のさかんな富山県の出身だそうで、上京して改良湯を始め、今に至るとのこと。

この銭湯は慶子さんのご実家。銭湯を家業とする家に三姉妹のひとりとして生まれ、もともとはとても銭湯を継ぐなんて思ってもいなかったそう。ところが10年ほど前、3代目であるお父様の仕事が忙しくなり、慶子さんが銭湯を手伝い始めたのがきっかけで4代目を継ぐことに。リニューアルされた改良湯には、そんな若いご夫婦のこだわりが随所に散りばめられている。

「シンプルで、スタイリッシュな空間にしたい」
静かな情熱を持って語る、慶子さん。

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すっきりとした、シンプルな印象のロビー

以前はまさに「ザ・銭湯」という趣だった改良湯。
当時は照明もすべて蛍光灯で、明るすぎてなんだか裸やすっぴんを照らされているようで嫌だった。そんな慶子さんの実体験をもとに、今回のリニューアルでは明るすぎない、「照明を落とした、暗めの空間」を一番の要望として伝えたそう。

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ブルーライトに照らされる浴室

その思いもあって、現在の改良湯の浴室内は間接照明のみ。青い幻想的なライトとダウンライトで、やわらかに浴室内が照らされている。銭湯とは思えないほどスタイリッシュな空間になっているのはもちろんのこと、衣服を脱いで素のままになったお客さんたちが、人の目を気にせず、ゆったり落ち着ける空間になっている。

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湯船につかるとこんな雰囲気

確かに少し暗めの方が、人間って落ち着きますよね。

 

■女性もうれしい、軟水のお湯と炭酸泉でお肌しっとり

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ゆったりとくつろげる広い浴槽

リニューアルでメインターゲットにしたのは、20代~30代の若い女性。そのため、これまでは井戸水を中心に使用していたが、新たに軟水器を導入。井戸水から硬度成分を取り除き、肌にやさしい軟水へと変更した。中温風呂、炭酸泉などだけではなく、シャワーや水風呂まで全て軟水だ。

軟水を使うことで石けんやシャンプーの泡立ちが良くなり、髪や肌に刺激が少なく、入浴後のつっぱり感が軽減される。そして一般的に「美人の湯」といわれるナトリウム温泉に近いイオンバランスのため、入浴後には肌がなんだかしっとりなめらかになったように感じられる。女性にも、もちろん男性にとっても、うれしいことがいっぱいなのだ。
後編に続く)

(写真・文:銭湯ライター 林田紗央莉


【DATA】
改良湯(渋谷区|渋谷駅・恵比寿駅)
●銭湯お遍路番号:渋谷区 14番
●住所:渋谷区東2-19-9
●TEL:03-3400-5782
●営業時間:月~金曜15~24時半、日曜・祝日13~23時(最終入場は閉店30分前まで)
●定休日:土曜
●交通:山手線「渋谷」駅下車、徒歩12分 /山手線「恵比寿」駅下車、徒歩12分
●ホームページ:https://kairyou-yu.com
●Twitter:https://twitter.com/kairyouyu1916
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