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今回撮影したのは、練馬区石神井台にある「たつの湯」。創業は1964(昭和39)年で、初代ご主人の名前である龍五郎にちなみ、屋号が「たつの湯」となった。

一見、木造の宮造り銭湯に見えるのだが、実は躯体に鉄骨を採用しており、時代を先取りする感覚が龍五郎さんに備わっていたと推測される。毎年のようにどこかしらを修理している建物は、建築当時の佇まいを今に残しているが、懐かしさと温もりを感じさせてくれる「たつの湯」は、私の心に潤いを与えてくれるオアシスである。

湯を沸かす燃料は、今もなお薪のみを使用している。ガスや燃料油に比べるとかかる手間は段違いなのに、薪にこだわる理由は、災害時にも蓄えた薪でお風呂を提供したいとの思いがあるからだ。また、すべてのお客さんに気持ちよくなって帰ってほしいという店主の思いは、空気まで澄んでいるように感じさせるほどの清潔感によく現れている。注意書きの張り紙が極めて少ないのは、店とお客さんが信頼関係で結ばれている証かもしれない。

「たつの湯」を訪れると、毎回私はある種の温もりを感じる。手間がかかっても薪にこだわり、気持ちよくなってもらいたいとの思いから抜群の清潔感を長年維持してきたその心意気が、その温もりを生み出しているのではないかと思う。落語家の故・立川談志さんは、生前「たつの湯」に足繁く通っていたという。『銭湯は裏切らない』の言葉を遺した不世出の落語家も、きっと「たつの湯」の心意気に触れていたことだろう。

さて、よい銭湯に出会うとつい熱く語ってしまうが、「レンズ越しの銭湯」のタイトルらしく、撮影についてもお伝えしておこう。
今回、新しく試みたのが、ドローン撮影だ。たつの湯でドローン撮影をした理由は2つある。 一つは建物正面が大きな駐車場に面しており、駐車場上空で様々なアングルの撮影が可能であること。もう一つが建物正面が北面のため、太陽が最も高い夏至頃に撮影することで逆光のリスクが一番低いと判断したからである。
銭湯の空撮自体が初めてで、筆者も新鮮な感覚を味わったが、写真を見た皆さんはどんな感想を持っただろうか? 今回は「たつの湯」について書き連ねたが、その心意気は実際に肌で感じるに限るだろう。たつの湯は絶対裏切らない!
(写真家 今田耕太郎)


【DATA】 たつの湯(練馬区|大泉学園駅)
●銭湯お遍路番号:練馬区 29番
●住所:練馬区石神井台6-19-26
●TEL:03-3922-0753
●営業時間:15~22時
●定休日:月曜
交通:西武池袋線「大泉学園」駅下車、徒歩15分
●ホームページ:–
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今田耕太郎

1976年 北海道札幌市生まれ。建築写真カメラマン/写真家。

2014年4月よりフリーペーパー「1010」の表紙写真を担当。2015年4月からはHP「東京銭湯」のトップページ写真を手がける。

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