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東京ではこの冬、湿度はほぼ平年並みとはいうものの、12月の平均気温が6.6度と、ここ10年間で最も低かったせいか、なんとなく肌の乾燥が気になります。水分は、乾燥しているところに流れやすいと考えられており、空気中の水分が減ると、肌の水分が逃げて乾燥しやすくなるのです。さらに、気温が低いので体が冷えて血行が悪くなることによって、体内バランスが崩れて皮脂の分泌が減り、肌の水分が蒸発しやすくなるということもあります。特に顔はいつも外気に触れているので、他の部位よりも水分が逃げやすいと考えられています。

肌の乾燥対策で最も大切なのが、入浴と湯上がり後のスキンケア。昨年9月、この「銭湯で元気!㉚」で、夏の紫外線でダメージを受けた肌のリカバリー法として、以下の注意点と基礎知識を挙げました。

①湯船に入浴することによる温熱効果が血行の改善を促し、肌のターンオーバー(古くなった皮膚細胞を垢にして排出し、新しい細胞に置き換わること)を促す。

②血行改善は傷んだコラーゲンの再生にも有効。

③皮膚の表面の角層にある保湿システムのセラミドは、長時間湯船に浸かっていると流失してしまい、乾燥肌の原因となるので長風呂は避ける。長くても15分まで。

④42℃以上の熱い湯に入ると、ヒスタミンというかゆみの原因物質ができたり、皮膚のバリア構造を変化させたりするので、38~40℃の湯につかるのが肌には優しい。

⑤保湿成分を含む薬湯がある浴場では、その浴槽を積極的に利用する。

⑥風呂上がりは10分以内にセラミドなどを含む美容液で肌のケアをすること。

実は冬の肌の保湿についても、同様のことが言えます。特に③の長風呂を避けること、⑥の風呂上がり10分以内の肌ケアは重要なポイントです。なぜでしょうか。

入浴前と比べて、入浴中の肌は水分量が2倍になるのですが、温まった熱によって風呂から上がると水分はどんどん失われ、タオルで体を拭いて15分ほど経ったころには、ほぼ入浴前と同じくらいの水分量になってしまうのです。さらにそれ以降は、入浴前より水分量が減ることも実験でわかりました。これは、入浴後に肌の表面から水分が蒸発するとき、元々肌の内部にあった水分まで一緒に蒸発するからなのです。実験では30分経過すると、肌の水分量は入浴前のほぼ半分に減ってしまうこともわかりました。空気が乾燥している冬場は、この速度がさらに加速すると考えられています。

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風呂上がりの肌の乾燥を抑えるには、体の洗い方にも注意が必要です。体を洗う際にボディブラシを使うと、肌との間に摩擦が起こり、表面を傷つけてバリア機能の低下を引き起こします。これによって肌のNMF、つまり天然の保湿因子であるナチュラル・モイスチュアライジング・ファクター(アミノ酸やミネラルなどの成分から成る)が逃げやすくなり、肌の水分が喪失しやすくなるのです。ですから、体を洗うときは柔らかいボディタオルを使うか、石鹸の泡を手にとってやさしく肌に滑らせる程度で十分。強く洗うのはわきの下など気になる部分だけにとどめるのが賢明です。これで十分、垢は落とせるのですから。

同じ理由で、風呂上がりのタオルドライにも注意が必要です。肌に水分が残っていると乾燥を促進しますから、ゴシゴシこするのではなく、ソフトに吸わせるような感じでタオルを当ててください。

さて、注意点④で指摘したお湯の温度も肌の保湿にとっては重要です。寒い冬の夜は熱いお湯にざぶんと入りたいもの。でも、熱いお湯は肌のバリアの要素である皮脂を流しやすくします。とても熱いお風呂に入った後、肌がサラサラしていると感じることはありませんか。あれは肌の脂っ気が抜けたからなのです。長く湯船につかりたい場合、銭湯なら38度くらいの炭酸泉を選ぶといいでしょう。

さて、問題は素早くタオルドライした後の保湿ケア。どんなクリーム、どんな美容液を使えばいいのか。これがさらに重要なポイントになります。注意ポイント⑥でセラミド入りの化粧水が挙げられていますが、ほかにも保湿をうたったいろいろな化粧品が販売されていますね。この選び方については次回、詳しく説明しましょう。

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WEB版「東京銭湯マップ」では、炭酸泉やぬる湯の湯船がある銭湯の検索もできる

 

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